Appleの新CEOに就任したジョン・ターナス氏が、製品開発のスピードを上げ、組織をスリム化するために経営体制を見直していると報じられました。春と秋に集中していた製品発表を年間に分散させるほか、エンジニアと経営幹部の間にある管理職の階層を減らすことなどを検討しています。
ターナス氏はAppleのハードウェアエンジニアリング部門を率いた後、ティム・クック氏の後任としてCEOに就任しました。Bloombergによると、ターナス氏は社内で、AI時代に競争力を維持するには製品をより速く市場に投入し、実験的な取り組みを増やす必要があるとの考えを示しているとのことです。
改革の一つが、長年続けてきた製品発表スケジュールの見直しです。Appleはこれまで、秋のiPhone発表を中心に、必要に応じて春にも大規模な発表を行ってきました。ターナス氏は特定の時期に発表を集中させず、年間を通じてより頻繁に製品を投入することを目指しているとされています。ただし、長年定着した開発体制を変えるには、数年かかる可能性があります。
Appleは2027年に向けて、多数の新製品を準備しているとのこと。たとえばカメラを搭載したAirPodsや同社初のスマートグラス、登場20周年に合わせてデザインを刷新したiPhoneなどが計画されています。このほか、新型HomePod miniやiPad mini、Apple TV 4K、タッチスクリーン搭載MacBookも開発中と報じられています。
ターナス氏は組織のスリム化にも取り組んでいます。ハードウェアエンジニアリング部門を率いていたころから、採用を抑えて既存のエンジニアにより多くの仕事を任せ、組織の肥大化を防ぐべきだと主張していました。社内会議では従業員数の増加を示す資料を使い、より少ない人数で多くの成果を上げるべきだと説明していたとされています。
実際に同部門では、製品開発の日程管理や部門間の調整を担う「エンジニアプログラムマネージャー」の削減が始まっています。Bloombergによれば、対象は複数のプログラムマネージャーに加え、上位の役職に当たるディレクター約6人です。対象者には社内で別の職務を探すための期間が数週間与えられ、異動先が見つからなければ年内に解雇される予定です。
Appleでは、ほかの部門でも小規模な人員削減が続いています。SiriやApple Vision Pro、AI関連のソフトウェアエンジニアリング部門に加え、Fitness+でも少数の人員を削減しました。
また、約5000人のAppleCare担当者を削減する案も検討されました。AIを使った電話やウェブのサポートシステムで、業務の一部を代替できると考えたためです。ただし、この計画は最終的に保留となっています。
ターナス氏はAIを製品に組み込むだけでなく、社内の製品開発を速めるために活用することも検討しています。開発部門の管理職には、より多くの製品を短期間で完成させることが求められています。管理職が業務に直接関わる機会も増え、社内は以前より慌ただしくなっているとのことです。
コスト削減の背景には、部品価格の上昇もあります。業界全体のメモリ不足により、Appleが調達する主要部品のコストも上がっています。同社は一部製品を値上げする一方、消費者の負担が急増しないよう、コスト上昇分の一部を自社で吸収しているとされています。
ターナス氏は、サービス部門責任者のエディ・キュー氏やCFOのケバン・パレク氏とともに、新たな収益源も模索しています。Appleのサービス事業は長年、高い成長率と収益性を維持し、ハードウェア販売の変動を補ってきました。しかし、その足元では成長が鈍る兆しも見られます。2026年4~6月期のサービス売上高は、2022年以来初めて前四半期を下回りました。ただし、前年同期比では増加しており、4~6月期としては過去最高を記録しています。
Appleは製品の投入頻度を高め、端末を販売する機会を増やす方針です。あわせて、新しいサービスの利用を促し、既存の製品やサービスから得られる収益も増やしたい考えとされています。ターナス氏は、製品開発の高速化と組織のスリム化を柱に、経営改革を進めています。
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