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一汽、広汽、トヨタの3社が「One Toyota(ワン・トヨタ)」の実現を共同で宣言した。中国自動車市場では、合弁事業がより深い協業へと進化する新たな時代が幕を開けようとしている。

トヨタはついに、中国市場のニーズに適合した新たな現地化体制を構築する決断を下した。世界販売首位を支える戦略を、中国市場でも実現する狙いだ。

一汽が広汽集団の戦略株主となり、広汽集団が一汽の保有する一汽トヨタの株式50%を取得する計画が浮上している。これにより、「大広汽トヨタ」とも呼ぶべき新たな枠組みを構築する構想だ。中国の中央・地方の自動車大手と世界的な自動車メーカーが深く連携する今回の動きは、中国の自動車合弁事業の発展において、極めて象徴的な出来事といえる。

中国ブランドが中高級市場で存在感を高め、電動化・知能化への転換が加速するなか、トヨタも中国のユーザーニーズに本格的に応えようとしている。グローバルで統一された戦略を堅持しながら、北米市場で培った現地化の仕組みを参考に、中国市場に統一的なトヨタの事業運営体制を構築する。

中国の実情に合わせた独自の戦略を展開し、中国を「もう一つの北米トヨタ」に育てる考えだ。これこそ、トヨタが世界販売首位を維持してきた秘訣でもある。

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1. グローバル化と現地化の両立、トヨタの競争力を支える仕組み

トヨタとフォルクスワーゲン(VW)が長年繰り広げてきた世界販売首位争いで、最終的にトヨタが優位を保ってきた要因の一つは、複数の主要市場で安定した実績を上げてきたことにある。とりわけ、北米市場の規模と収益力、そして現地の製造体制は、トヨタのグローバル競争力を支える重要な柱となっている。

トヨタは北米に大規模な生産体制を築き、RAV4やカローラといったグローバルモデルを投入する一方、北米市場専用のモデルも数多く開発してきた。広汽トヨタが中国市場に導入したハイランダーやシエナに加え、セコイア、4ランナー、グランドハイランダー、タコマなどがその代表例だ。さらに、トヨタは北米で高級車ブランドのレクサスも立ち上げた。

各国・地域の政策やユーザーニーズの違いに応じて現地化を進めることは、トヨタにとって新しい取り組みではない。長年にわたって実践してきたグローバル経営の基本戦略である。

トヨタの現地化は、すべてを一から作り直すことではない。トヨタ共通の基準を維持しながら、各市場の特性に合わせて最適化することだ。その代表例が、トヨタ生産方式(TPS)、TNGAと呼ばれるグローバル車両開発基盤、そして世界各地に普及してきたハイブリッド技術である。

グローバルで統一された生産基準と製造体系があるからこそ、トヨタは各地域の生産資源を活用し、世界各地の工場で迅速に生産能力を拡大できる。TNGAによるプラットフォームや部品の共通化は、研究開発と製造の効率を高めるだけでなく、世界市場の変動に対する耐性も強化してきた。

各国で燃費・エネルギー消費や排出ガスに関する規制が厳格化するなか、自動車メーカー各社は新技術の開発と市場ごとの商品構成の見直しを迫られている。これに対し、トヨタは1997年に初代プリウスを発売して以来、ハイブリッド技術の実用化と世界展開を継続してきた。現在、ハイブリッド車はトヨタが世界販売首位を支える最も強力な柱の一つとなっている。

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2. グローバルモデルだけでは通用しない、中国市場には独自の戦略が必要

実際、トヨタは北米、欧州、中国の3大市場で、それぞれ異なる現地化戦略を採用してきた。ただ、北米と欧州ではグローバル戦略を比較的そのまま展開できる一方、中国市場は電動化・知能化の進展によって、独自性の強い市場へと変貌している。トヨタも近年、中国市場に合わせた変革を加速させている。

中国市場における多国籍自動車メーカーの成功例として、フォルクスワーゲンは早期の合弁事業展開と現地化によって市場基盤を築いてきた。一汽VW、上汽VW、一汽アウディという3つの事業主体を通じて、中国を世界最大級の市場へと成長させた。

しかし今、中国市場で求められているのは、新たな成功物語だ。単に中国国内で生産するだけでも、中国向けに仕様を調整したグローバルモデルを投入するだけでも不十分になっている。

トヨタの1~8月の世界販売台数は、レクサスを含めて665万5,700台となり、世界首位を維持した。販売上位市場は北米、日本、中国の順で、中国市場では92万7,800台を販売した。現地化と電動化を並行して進めることで、トヨタはフォルクスワーゲンとの差を徐々に縮め、中国市場での販売順位2位、合弁ブランド内での2位というポジションを維持している。

中国ブランドのBYDが首位の座を固め、フォルクスワーゲンも電動化による新たな成長の道筋をまだ十分に切り開けていない。こうした状況のなか、トヨタは中国市場がもはや「もう一つのフォルクスワーゲン」を必要としているわけではなく、単なる「中国版トヨタ」だけでも不十分だと認識し始めた。必要なのは、広汽トヨタを軸とした新たな成長モデルなのである。

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3. ハイブリッドは切り札、トヨタの新エネルギー車戦略が本格化

中国メーカーが世界市場で新エネルギー車の普及を加速させるなか、フォルクスワーゲンやGMなどの多国籍自動車メーカーにとって、電動車市場は従来のガソリン車市場とは大きく異なる新たな領域となった。電動化に巨額の投資が必要となる一方、短期的な収益確保が難しいことから、経営への負担が増し、事業拡大の足かせにもなっている。

一方、トヨタにとって電動化は、今になって取り組み始めた新たな課題ではない。ハイブリッド技術を世界に普及させる過程で、電動化に必要な技術やノウハウを蓄積してきた。トヨタの基本的な考え方は、電気自動車を全く別の存在として捉えるのではなく、ハイブリッド車の進化の延長線上に位置づけることだ。

トヨタは、駆動用電池の原材料や技術、生産能力の確保から、量産化が見込まれる全固体電池の開発まで幅広く取り組んでいる。パナソニックとの車載電池合弁会社の設立に加え、CATLやBYDとの協業も進めてきた。ハイブリッド車の普及を推進しながら、新エネルギー車関連のサプライチェーンをグローバルに拡充している。

トヨタは年間400万台超、累計3,500万台超のハイブリッド車を生産・販売してきた実績を持つ。長年にわたる生産とユーザー運用の経験を通じて、電動車を世界に普及させるための技術基盤をすでに築いている。残る課題は、各地域の政策やユーザーニーズに最も適した方法とタイミングで、電動化を加速させることだ。

フォルクスワーゲン、GM、ホンダなどが電動化投資の負担から計画の見直しを迫られ、一部の開発中の電気自動車を断念する動きも見られるなか、トヨタの新エネルギー車戦略は競争の最前線へと進みつつある。

トヨタが初期にe-TNGAの電気自動車専用プラットフォームをベースに開発したbZ4XやC-HR+などは、欧州や北米で普及が進んでいる。さらに、ハイランダーにも電気自動車モデルが登場し、新型カローラでは、欧州の厳格な排出ガス規制「ユーロ7」への対応策の一つとして、新世代の1.5リットルパワートレインが初採用される可能性がある。

ただし、トヨタにとって、こうした技術や商品構成はあくまで選択肢の一つだ。市場環境が変化しても、特定の技術に依存せず、地域ごとに最適な解決策を選べることが強みとなる。

2027年、中国市場ではトヨタの新型車投入が相次ぐ見通しだ。広汽、一汽と共同開発する中国市場向けの新エネルギー車に加え、ハイランダーやカローラの電動車モデルも中国市場に導入される見込みだ。さらに、RCEと呼ばれる現地化開発体制を活用し、スマートコックピットや運転支援システムを中国のニーズに合わせて最適化していく。

南北トヨタが商品開発、技術活用、サプライチェーンなどの分野で連携を深めれば、中国市場におけるトヨタの事業規模と競争力も強化される。中国のユーザーに支持されるヒットモデルを共同で生み出すことで、合弁ブランド市場、さらにはガソリン車市場におけるトヨタの発言力を高める狙いもある。

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4. 「大広汽トヨタ」の誕生、現地生産から現地での意思決定へ

「大広汽トヨタ」の時代を迎え、トヨタは中国市場で独自の選択を進めている。カムリやRAV4などでは、中国市場向けの2.0リットルガソリンエンジンを開発し、中国のユーザーニーズに合わせてスマートコックピットを最適化した。

さらに、広汽と共同でbZ3X、bZ7を投入し、中国のユーザーから支持を獲得している。これらは、多国籍自動車メーカーのなかでも、現地化をいち早く成功させた事例といえる。

近く、トヨタが中国市場向けに開発した初のレンジエクステンダー車が、広汽トヨタのグローバル模範工場で生産される見通しだ。同時に、ハイランダー、シエナ、カローラといった代表的なグローバルモデルでも、電動化に向けたモデルチェンジが加速し、中国市場への投入と世界展開が進むことになる。

新たな歴史的転換点に立つトヨタにとって、中国市場のニーズに合わせた現地化と電動化は、これまでとは異なる次の変革を迎えようとしている。

「大広汽トヨタ」の時代には、トヨタに代表される多国籍自動車メーカーが、中国市場に本腰を入れて取り組む決意を固めた姿が見えてくる。中国市場は単なる販売台数の供給源ではない。トヨタの世界的な影響力を支える重要な基盤でもある。

「トヨタ・イン・チャイナ」から「中国のトヨタ」へと進化する過程で、南北トヨタはトヨタの製造力と競争力を支えてきた。そして今、その役割を「大広汽トヨタ」へと引き継ぎ、中国市場で合弁ブランド販売首位を目指す。これにより、トヨタは世界市場での優位性をさらに強固なものにしようとしている。